【vol.41】酷道441号

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ドライブするだけで命に危険が迫る国道をご存知だろうか。「国道」と聞けば、生活道路よりも道幅が広く、きちんと整備されている道をイメージしがちだ。しかし、全国にはそんな常識を根底から覆す、とんでもない国道が数多く存在する。そんな危険でエキサイティングな国道のことを、我々は“酷道”と呼んでいる。

今回の酷道

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日没との闘い四国縦断酷道「酷道441号」
愛媛県大洲市〜高知県四万十市

中国四国地方と岐阜県に大きな被害をもたらした西日本豪雨。小さな自治体はテレビ等で報じられることが少なく、救援も遅れていた。そんななか、少しでも多くの人に被害の実態を知ってもらおうと、SNSを使って拡散を図った地域があった。愛媛県西予市にある野村町だ。

野村町の被害を訴える悲痛な画像が私のタイムラインにも流れてきたが、とてもハッとさせられた。それは、野村という地名に覚えがあったからだ。酷道441号を走った時、オニギリと呼ばれる逆三角形をした国道標識の下に“野村町”の文字があったのを思い出していた。今回は、その441号をご紹介したい。

国道の起点から終点までコンプリート走破してやろうと目論んで、愛媛県大洲市に来ていた。途中、高速道路が予想外に渋滞していて、昼過ぎの到着になってしまった。わざわざ高速道路で遠方まで来て酷道を走るというのは、我ながらよほどの物好きだろう。

快走路も束の間、大洲市の郊外で早くも酷道になった。酷道マニアとしては嬉しい展開だが、この先終点の高知県四万十市まで100キロもあるのかと思うと、気が遠くなる。

複雑な線形とヘアピンカーブの峠を越えると、再び2車線の快走路になった。しばらく走っていると“野村ダム”の案内標識が見えてくる。野村町の市街地を抜けると再び酷道と化し、峠を登りはじめた。

山頂付近には、とてもいい雰囲気の“土屋トンネル”がある。トンネルの手前に国道標識を発見し、車を停めて撮影した。あの“野村町”と書かれた標識だ。この時の印象が、ずっと残っていたのだ。トンネル内では対向車と行き違うことが出来ないため、入口で対向車が来ないことを確認し、ハイビームにしてから侵入する。

トンネルを抜けると、道幅は狭いながらも路面状態は非常に良いという、やや物足りない酷道が続いている。峠を下り、北宇和郡鬼北町に入ると、立派な石垣が特徴的な風景を作り出していた。こうした風景に出会えるのもまた、酷道趣味の醍醐味だろう。

その後、快走路と狭隘路を繰り返しながら峠や集落を抜けて高知県に入ると、四万十川に沿って国道が伸びるようになった。道は所々狭く、中途半端な酷さだ。夕方になったせいか交通量が多くなった。また、日没を迎えて周囲が薄暗くなってきた。完全に暗くなると、写真が撮れなくなってしまう。ここから、日没との闘いが始まった。道の酷さは中途半端だが、状況の酷さはハンパない。色々な酷さを楽しみたいものだ。(楽しめるとは言ってない。)

夜の帳が下りはじめた頃、ようやく四万十市に入った。しかし、四万十市は広い。同じ市内にある国道の終点まで、20キロ以上あった。結局、終点に着いた頃には真っ暗になっていた。そのため、写真はない。なにも写真を撮るために探索するのではない。楽しむために探索するのだ。と、最大限強がっておこう。

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豪雨災害で真っ先に思い出した野村町のオニギリ。

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昔ながらの隧道の雰囲気を残した土屋トンネル。

鹿取茂雄

酷い道や廃れた場所に魅力を感じ、週末になると全国の酷道や廃墟を旅している。2000年にWEBサイト「TEAM 酷道」をスタート。徐々に仲間を増やしながら活動を続けている。
http://www.geocities.jp/teamkokudo/