知られざる野生のメカニズム 山火事は人類の脅威か? 自然の恵みか?

Forest Fire. Heatwave Causes Forest Burning Rapidly And Destroyed, Silhouette, Natural Calamity. Forest Fire, Bushfire With Flames And Smoke Clouds. Generative Ai

文/宇都宮ミゲル

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Navigator|森 章さん

東京大学先端科学技術研究センター 教授。京都大学大学院農学研究科・博士課程修了。横浜国立大学教授などを経て現職。国内外でのフィールドワークを展開しつつ、地球のエコシステムや生物多様性、山火事などの研究に尽力する。その研究活動により、日本学術振興会賞(2022年)、日本生態学会宮地賞(2009年)などを受賞。

一章  世界規模で山火事の件数は増えているのか?

凶暴化する世界各地の山火事

 2023年8月、米国・ハワイ州のマウイ島で発生した山火事は死者数97名、同国の過去100年の歴史上、最悪の山火事災害となった。2023年にはカナダで約7000件もの山火事が発生したが、この年は同国における過去10年の平均消失面積(1年あたり)の約7.4倍もの面積を1年で焼き尽くしたことになる。そのほか昨年だけを見ても、チリ、ギリシャ、スペイン、アルジェリア、オーストラリアなど、大規模な山火事の報告は枚挙に暇がない。果たして、地球上の山火事は今後ますます増加し、その規模は増大していくのだろうか。世界中のフィールドワークを通じ、山火事の研究を続ける東京大学先端科学技術研究センターの森章教授はまず、こう口を開く。