サバイバル登山家・ 服部文祥が振り返る 相棒犬失踪事件 ―現代文明に生きるという自己矛盾―

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九州中央火山帯、阿蘇山の中腹で、ナツが鹿を追って走った後に、まとまった雨が降った。そしてナツは、一晩たっても戻らなかった。それは、その後200時間以上続く、ナツ行方不明の始まりだった。

写真・文/服部文祥

 近年、私の山旅は本誌でもときどき紹介しているとおり、山旅犬のナツと長い散歩のような徒歩旅行をおこなうことである。

 その徒歩旅行に出向いた熊本県阿蘇山で一月三一日にナツが行方不明になった。ツイッター(X)で状況を追っていただいていた方は、知っているかもしれない。先に結果だけ書いておくと、行方不明から九日目の二月八日に外傷を負って衰弱した状態のナツが発見され、回収し、今はほぼ失踪前と同じ健康状態に戻っている。