【vol.73】川エビと土手菜をいただきま~す

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今回のテーマ:川エビと土手菜をいただきま~す

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エビの隠れているところを知ってしまえば、冬でもエビは簡単に捕まえられる。

春らしいものを2月に探すのは大変難しい。今年は少し季節が早いと言われていても、家の周りはまだ冬。芽吹きもまだ先だ。そんななかで春っぽい取材をするのは大変である。ない頭をひねり苦戦して考えたのが、意外と目の前にある素材。川でエビをすくい、土手で雑草を採集することにした。

土手菜(私が勝手に呼んでいる)は、川や田んぼなど土手で採れる食べられる野草のことを言う。一般的には山菜とひと言でまとめて呼ばれているけど、ツクシやヨモギなどを〝山菜〟と言うのはなんか矛盾している。山じゃなくても食べられる草はたくさんあるし、土手に行けば採れるので親しみやすく〝土手菜〟と名付けた。どんな都会でも川があれば土手があり、土があれば勝手に生えてくる雑草。特に日の当たる側の土手では緑が多い。そんな場所で探せば見つかる優秀食材である。

今回かろうじて芽を出していたのがヤブカンゾウ。それと、困った時の神様・ノビルだ。ノビルは一年中葉が出ているので困らない。葉も使えるし、球根はこれから成長するが、無いわけではないので掘れば必ず付いてくる。一年中使える万能土手菜なのだ。それに何か肉物を足したいなと考え、冬でも大量に採れるエビを選び、この3種類でチヂミに挑戦だ。

川エビを採取するなら冬が最高だ。なぜなら、川の中に草や根があればそこでエビは集結して越冬的な生活をしており、一度にたくさん採れるからだ。その性質を利用した漁法を〝柴漬け〟と言う。柴とは細かなたくさんの枝をまとめて縛ったもの。いわゆる「おじいさんはしばかりに」の柴だ。これを川に沈めておく。エビの隠れ家を作って仕掛ける漁なのだ。冬のエビはそんな場所へ入り込み、じっと水温が上がるまで動かず暮らしている。つまりガサガサでもそんな場所を狙って網でガサればエビが採れるということ。

川にもよるが、関東より南で海に近い川では様々な種類のエビが採れる。今回は栃木県の家からすぐの川でスジエビとヌマエビを採取した。まだ寒く、水も冷たいのでブクブクはいらなかったが、長い距離の移動や暖かいシーズンのエビの移動にはブクブクが必要になる。できれば生きたまま食材に使いたいが、酸素がないとすぐ死んでしまうので注意しよう。

この号が出るころには関東周辺はすっかり春で、いろいろな土手菜が見つかることだろう。色々な土手菜でチヂミに挑戦してもらいたい。いよいよ春本番になるわけだが、桜もいいけど足元の小さな花にも目を向けてほしい。日当たりのいい場所ではたくさんの種類の花が見つかるだろう。周りの草が伸びていないこの季節に見やすい花たちなので、少し観察して種類を覚えてみよう。

春を求めて土手巡り やっとの思いで土手菜をゲット!

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春の土手菜の定番、ヤブカンゾウ(右)とノビル(左)。カンゾウは葉を食べるので、カッターナイフで土ギリギリのところでカットする。ノビルは根っこの球根と葉を使うので根っこごと採取。ノビルは一年中見つけられる。

春先の土手の花

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オオイヌノフグリ

水色で可愛らしい小さな花を付ける。種がふぐりに似ている。

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カキドウシ

シソ科でつる性の多年草。古くから薬草として使われている。

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スギナ

シダ植物。地下茎で育ち、葉と花が別々に出る。花(胞子茎)はつくし。

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セイヨウタンポポ

キク科の多年草。若い葉は食用になる。真冬でも花が見られる。

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ヒメオドリコソウ

シソ科の越年草。葉と花が踊り子に見えることから名が付いた。

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ホトケノザ

シソ科オドリコソウ属の一年草。七草のホトケノザとは違う。非食用。

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ホンモロコ

本命だったが数匹しか釣れず残念な結果に。とても美味しい魚。

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ムラサキサギゴケ

サギゴケ科の多年草。可愛らしい花で園芸種にもなっている。

川エビと土手菜でチヂミ

 

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用意するものは採りたてのヤブカンゾウとノビルと川エビ。そしてチヂミの素と適量の水と生卵。

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1,カンゾウとノビルの下処理をする。流し水につけながらゴミや土を丁寧に取り除く。今回ノビルの根は使わないので切り落とす。

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2.チヂミの素と生卵、水200ccを少しずつ入れ溶かすようにかき混ぜて生地を作る。小麦粉と片栗粉でも作ることができる。

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3.エビをザルなどに移し、流し水でゴミを落としながら洗う。水から上げ水分を切る。死んでいるエビはこの時取り除く。

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4.水から上げたエビを油で赤色になるまで強火で炒める。隠し味に塩を振って味を付ける。

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5.ノビルとカンゾウを2cmくらいに切る。出来上がりを想像して多めに具材を用意する。

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6.生地に具材を入れてよく混ぜる。具材は「ノビルとエビ」「カンゾウとエビ」と種類別にしてもよい。

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7.ごま油をフライパンにひき、中火で適量を薄く伸ばし焼いていく。エビは一度火を通しているので生地の焦げ目だけ注意する。

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8.両面を少し焼き目がつくくらいで完成。中はもちもちした食感で、外は香ばしく仕上げるのがコツ。お好み焼きと同じだ。

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完成!

チヂミがお好み焼きと違うのはもちもち感とタレ。酢醤油に好みで砂糖、コチュジャンを入れる。具の土手菜はクセがないので味が物足りなかった。

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日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。