白丸湖/曇りのち晴れ/2024年4月
編集部の超私的な山行について気が向いた時にゆるく綴っていく「私的山遊記」の第5回。前回の桂川ダウンリバーに続き、静水でもパックラフトを試したいということで水上アクティビティが盛んな奥多摩・白丸湖へ。
パックラフトという最強の野遊び道具を手にし、週末の計画が楽しみで仕方がない我々。次は野営道具を積み込んでパックラフト×キャンプといきたいところだが、直近の日程が1日しか確保できず、またしても日帰りパドリングを楽しむことに。ようやく桜が開花して大衆は、都会のお花見スポットにところ狭しと集まっている。そこで船を使って水上から桜の咲く場所にアプローチし、混雑を避けつつ優雅に桜を見上げようという欲張りな発想に至った。
最初に候補に挙がったのは、この時期限定でお花見パドリングツアーも開催されるらしい大横川をはじめ、隅田川周辺の都内の運河エリア。桜並木の下を船で通り抜けるのはなんとも魅力的だが、下ろしたての愛艇を下流域の汚濁した水に浮かべるのはなんとなく気が引けて次の候補を探す。
前回は流水で使用したため、今度は静水でのパックラフトの実力とポテンシャルを試したい。「日帰り圏内」、「水がきれい」、「静水」という条件で思い当たったのは一択。ということで、行き先はウォーターアクティビティのフィールドとして有名な多摩川上流の白丸湖に決定した。
高速が少し渋滞していたという理由で青梅街道をひた走り、白丸ダムの駐車場に到着。大きめのドライバックに荷物をつっこんで徒歩で上流方向へ車道脇を歩き、数馬峡橋を渡ったところから少し下って湖畔にエントリーできる。橋の手前にも駐車場があるようだった。
この日は風も少なく穏やかな湖面。桜もちらほら咲いていた
湖畔の左岸側にボルダーがある。水辺で景色もいいので気持ちよさそう
湖上に船を浮かべてゆったり。流水も冒険感があって魅力的だが、周囲の自然に浸れるゆっくりとした時間を味わえて静水もいい。静水では沈する可能性も少ないので、ウェアは身軽に。ヘルメットは置いてきた。
ダウンリバーなら川辺も歩きやすくネオプレン素材で暖かい沢靴がベストかなと考えているが、ポーテージのない今回は固定式サンダルタイプのXERO SHOES(ゼロシューズ)のZトレイルEVを選択。ランや長距離歩行にも対応する三層構造ソールを搭載するため、入渓・退渓時の斜面やフィールドまでの移動はもちろんのこと、独自のソールパターンで水辺でも滑りにくい。汚れを落としたり乾かしたりの手間が少なく、ソックスも合わせられて1足で出かけられるので、今後のパックラフティングでも重宝しそうだ。
ゼロシューズのZトレイルEV。パドリングにも最適だ
パドルの練習も兼ねて上流方面へ行けるところまで行ってみることに。数馬峡橋をくぐって湖に注ぐ支流や切り立った岩壁、せり出した立木など、ゆっくり眺めて楽しめるのがいい。徐々に湖の幅が狭まって両岸の岩と木々が押し寄せてくるとともに流れを感じるようになった。それでも風さえ吹かなければそこそこ進めるものである。上陸できる河原を見つけて休憩したら引き返す。
岩壁からピンク色の花(ミツバツツジ?)
が咲いていて美しい
岩の上にせり出した立木。
強いエネルギーを感じる
少し上流へ漕ぐと水深10cmほどの浅瀬もある
友人は船をつけて竿を出してみたり。魚影はなし
日も差してきたので帰りは流れに身をまかせてパックラフトの上で横になってみる。と、これが最高に心地よい。このまま昼寝してもほとんど流れのない湖上ではどこかへ漂着することもないし、転覆することもないはず。そうして小一時間、船上での昼寝タイムを楽しんだ。甲高い鳥のさえずりが響き、湖面の揺れとシートに包まれる感覚はハンモックのよう。
流れに身をあずけてゆったり水面を漂う
湖面の揺らぎが心地よい。パドルだけは離さぬように
目覚めると微風で押し戻されたらしくほとんど進んではいなかった。湖上にうまく係留できれば、夏はパックラフトで眠るのもアリかもしれない。熱帯夜も快適に過ごせるのではないだろうか。
風も少し出てきたので湖の最下流にある白丸ダムのブイをタッチし、今回の水遊びはおしまいにする。休日モードで随分とのんびり過ごしてしまったので、週末に青梅で開催されていた「TRAIL OPEN AIR DEMO 10」には間に合わず、奥多摩でランニングもせずにまっすぐ帰宅。サイドポケットにパドルを収納してブルーのPFDをかぶせた大型ザックを背負っているため、電車の中の視線だけが少し気になる。次はどこのフィールドへ向かおうか。
最下流の白丸ダムまで水上散歩を楽しんで終了