なかなか見られない山の風景を求める探検もある 自然現象ハント

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山には街では見ることのできない荘厳な風景がある。しかも、それに特異な自然現象が加われば、この世のものとは思えぬ光景を目にすることだってできるのだ。見れるかどうかは運次第だが、これを求めて行く探検もある。

01.アーベントロート

ドイツ語で「アーベント」は夕方、「ロート」は赤を指す。要は夕日が山肌や周辺の雲に反射して赤く染め上げていく夕焼けの豪華版である。朝焼けはモルゲンロートという。

−発生条件−
天気が良く、雲が夕日を遮らなければ起こる。ただし、これを堪能するためには時間的に泊りがけの山行を計画しなくてはならない。

02.老の

空気中の水分が強風によって木や岩に衝突して凍結、付着した氷層を言う。風上に向かって羽のように成長する(伸びる)ことから、このような名前で呼ばれるようになった。

 

−発生条件−
冬期の、風の強い稜線の木々や岩などに発生する。風が弱い場所では木や岩を満遍なく氷層が包む「霧氷」となる。

03.彩雲

太陽の付近にある雲の縁が虹色に彩られている状態。太陽の光が雲の粒を回り込んで進む(回折する)ことにより発生する。瑞雲や慶雲とも呼ばれ、良いことの前兆だと捉えられている。

 

−発生条件−
巻積雲、高積雲、風で切れている積雲などに見られることが多く、冬型の気圧配置で、晴れたときに発生しやすい。

04.サンピラー

空気中の水蒸気が凍ってできるダイヤモンドダストに太陽光が柱上に反射して起こる自然現象。大気の状態により形や濃さを刻々と変えていく神秘的な光景だ。

 

−発生条件−
ダイヤモンドダストが起こる-20℃前後で、空気中の氷晶が水平に並ぶ無風時に太陽光が差すと発生する。条件が揃えばどこでも起きる。

05.シュカブラ

吹き溜まりを表すノルウェー後の「SKAVL」をドイツ語で読んだ名で、強風により冬山の雪面が削り取られて波状の紋様ができた状態を指す。冬山の風物詩的造形である。

 

−発生条件−
硬い雪面を備える厳しい冬山で強風が当たる山肌に発生する。風の強さや方向、気象状況によって様々な紋様が生まれる。

06.ダイヤモンドダスト

空気中の水蒸気が冷やされてできた氷の結晶が空気中を舞い、その結晶に太陽光が反射してダイヤモンドのようにキラキラと輝く現象。日本では厳冬期の北海道内陸部でよく観測される。

 

−発生条件−
気温-20度前後で、晴天で風が無く湿度が高いときに発生する。放射冷却現象で夜間に気温が下がった翌朝に発生しやすい。

07.滝雲

稜線を越えて山肌に沿って下に落ちた雲が、流れ落ちる滝のように見える現象。気象用語では層雲と呼ばれる雲の一種。よく見られるスポットとして新潟県・奥只見の枝折峠が知られている。

 

−発生条件−
雲海が発生していることと、その雲が動くほどの強い風が吹いていることが挙げられる。雲海の発生しやすい秋から冬が狙い目。

08.チンダル現象

雲の切れ間から地上に降り注ぐ光の通り道が筋になって見える現象。大気中の微粒子に太陽光が当たり発生する散乱光により輝いて見える。森などで葉の間から光が漏れて見えるのも同様の現象。

 

−発生条件−
太陽光を遮るほどの厚みがあり、切れ間がある雲が発生していること。早朝もしくは夕方は太陽の角度が低くなるため多く見られる。

09.ブロッケン現象

高山で太陽の光が背後からあたり、前方の霧や雲海に自分の影が投影されてその周辺に虹色の紅環が発生する現象。ドイツのブロッケン山でよく見られたことからブロッケン現象と言われる。

 

−発生条件−
太陽光を遮らない山頂や尾根で、前方に霧や雲海が発生していること、晴れていることが条件となる。

10.霧氷

氷点下の環境で樹木に付着して発達する白色や半透明の氷層。濃霧が凍結付着した樹氷や粗氷、空気中の水蒸気が昇華して樹枝に付着した樹枝状あるいは針状の樹霜がある。

 

−発生条件−
樹氷は気温-5℃以下で風の弱いとき、粗氷は気温-4℃以下で風速が毎秒20m以上のときに生じる。樹霜は霜と同じ原理で発生。