楽しく野で過ごしながら生きることの深淵を覗く
本誌で定番となる2つの野営術「サバイバルキャンプ」と「ブッシュクラフトキャンプ」。どちらも己の知恵と技術が磨かれ、様々な環境で”自力で生きる“助けとなるが、表面的には似ていてもコンセプトが違う。前者は自然と対峙して、技術的側面から過酷な環境を生き抜くのが目的。対する後者は自然と共存して、精神的側面から過酷な環境も豊かな生活の場と捉えていく思想そのものなのだ。だからあえて自身を追い込む必要はなく、できるところからゆっくりと自然の恵みを享受し、いつものキャンプに取り入れていければいい。自然と共にあることを心から楽しいと思えた時、十分に”自力で生きる“知恵と技術が磨かれていることだろう。
少しの工夫と道具があれば誰でも“自分仕様”を満喫できる!?
ハンドメイドキャンプはじめの一歩
[ADVICE.01]設営撤収の手間を省けるシンプルなギアをセレクト
シェルターや焚火台などは素早く設営撤収できるものを選び、空いた時間でクラフトに興じよう。装備はアウトドア専用品に限らず、ホームセンターのボックスやミニ卓上コンロなどを活用すれば気軽に始められる。
[ADVICE.02]手持ちのウェアも機能性や素材次第で活用できる
今回は普段着にもしているビンテージウェアを着用した。中でもコットン製やウール製のワークウェアは、火の粉にも強く野営向き。ウェアもアウトドア用品に拘る必要はなく、素材や機能性を考慮して手持ちのウェアから選び取ればよい。
コンセプトブッシュクラフトの勧め
これからブッシュクラフトを始めるには、専用の装備や服装を揃える必要があると考えているビギナーが多いかもしれない。しかし、普段着で環境に適応していくことがブッシュクラフトの起源なのだから、固定観念に囚われることなく自分らしいスタイルで始めればいい。道具だってまずは今ある道具を使えばいい自分のルールや拘りを都度詰め込んで遊び、自分流を作り上げていく。そうやって生まれるのがコンセプトブッシュクラフトなのではないだろうか?
また、ブッシュクラフトというとシェルターや焚火周りなどを自作する野営を想像するかもしれないが、すべてを一から完璧に作り上げる必要はない。フィールドで過ごす時間で何か1つでもオリジナルギアを作れば、そこには達成感が生まれる。アレンジを加えた料理に舌鼓を打ちながら焚火で夜を過ごす。経験を積むことでギアが厳選されていき、現地の物で遊ぶようになっていく。ブッシュクラフトとは有限な時間を無限大の可能性に変える遊びでもあるのだ。
専用品ではなく身近にあるもので工夫して野営することでスキルを獲得していく。そして使い慣れたお気に入りの道具と、唯一無二の時間を大切に過ごす。自然を大切にしながら自分にとっての自由時間を過ごせるコンセプトを持って取り組んでほしい。きっとそこには素晴らしい体験と自然が待っているはずだ。