【vol.67】第35回 伝統保存食入門

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コーレーグース

お取り寄せ天国ニッポン、現地に行かなければ食べられない、手に入らない、というものはとても少ない。しかし、こういうものこそが旅の貴重な楽しみとも言える。コーレーグースを「作りたい」と思ったら、実は沖縄に「行く」しかないのである。

沖縄に行こう!

沖縄料理屋に行くとテーブルに小ビンが置いてあり、中には小さな島トウガラシが入っている。これが、ゴーヤーチャンプルーや沖縄ソバにひと垂らしすればキリッと味が引き締まる、沖縄名産の辛味調味料「コーレーグース」だ。

ミニトウガラシは内地にもあるが、島トウガラシでなくてはいけない理由は味の濃さと辛さだ。その違いの元はもちろんお日様である。ならば、お取り寄せで沖縄から生の島トウガラシを送ってもらえばいいじゃないかと思うかもしれないが、そうはいかない。

「植物検疫」という言葉をご存知だろうか。他国などから持ち込まれては困る植物の病気や虫などをブロックするためのシステムだが、今は全国的に知られ栽培されているゴーヤー(ニガウリ)も以前はウリミバエという虫のために、つい最近まで持ち出せなかった。ゴーヤーチャンプルーも沖縄に行かなければ食べられないメニューだったのだ。

沖縄産の植物で、まだ県外に持ち出せない植物はいくつかあって、その中のひとつに島トウガラシも入っている。乾燥、または冷凍させたもの、食品として加工されたものはOKなのだが、生のものは持ち出しがいまだに禁止されているのだ。

というわけで、本物のコーレーグースを作りたいと思ったら沖縄に行くしかない。お取り寄せ天国の今の日本で、そんなレアな保存食もそうそうないのではないだろうか。

【材料(180~200ml入りのビン1本分程度)】
島トウガラシ1パック(30本程度)、泡盛2合瓶1本(できれば40度以上のものがオススメ)

【作り方】
❶島トウガラシを軽く洗う。
❷ザルに広げて1~2日乾燥させ、軽く水分を飛ばす。
❸そのまま入れたのでは瓶から溢れてしまうので、泡盛を少しだけ飲んで減らしてから、島トウガラシを瓶に詰める。梅酒でもそうだがアルコール度数の高い方が抽出が早い。40度以上のものがオススメというのはそういう理由から。
❹最低2週間、できれば1~2ヶ月漬け込んで完成。抽出の目安は最初浮いていた島トウガラシが沈みはじめてくるのでわかる。時々瓶を振ったり天地逆にしたりして撹拌すること。1年以上漬け込むと島トウガラシの色が抜けて完全に下に沈み,極上のコーレーグースになる。
❺慣れないうちは少量ずつ使うこと。おいしいからと言って大量に入れると辛いだけでなく、ドライバーには飲酒運転の危険性もある。
❻使って減ってきたら、減った分だけ泡盛を足す。島トウガラシの色が抜けるまでは使える。

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沖縄のスーパーではどちらも普通に売られている。お日様のチカラが強いと野菜の味が濃くなるが、トウガラシなどはその違いが顕著だ。内地のものには、ここまでパンチのある辛さと味の深さがない。

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洗ってから軽く天日干しにする。水分が飛んで表面に少しシワが寄ってきたら準備完了。このように乾燥させた方が泡盛が染み込みやすく、辛味成分の抽出も早い。

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最初は島トウガラシが浮いた状態になっているが次第に沈んでくる。その頃には透明だった泡盛が黄色く色付いてくる。1年経つとオレンジ色に近くなる。

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写真・文 鈴木アキラ

1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。