【vol.60】第28回 伝統保存食入門

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【失われたパン・その2】 パン・グラタン

前回に引き続き、今回も乾燥させたパンの調理法を紹介。冷凍庫がいっぱいの時には、是非パンを乾燥させ保存食化して様々な料理に使うといい。スープやサラダに使う「クルトン」もそのひとつと言える。

乾燥させたパンの調理法

前回は乾燥させたパンの調理法として「パン・ペルデュ(失われた日のパン=残ったパン)」レシピの王道、いわゆるフレンチトーストを紹介したが、今回はパン・ペルデュ・サレ(しょっぱいパン・ペルデュ)と呼ばれる、デザート系ではない、より食事寄りのレシピを紹介しよう。

30年ほど昔、パリ~ダカール・ラリーの取材で1ヶ月パリに滞在し、プジョーチームのメカニックと仲良くなって、彼のおばあちゃんから教わったレシピである。「オニオン・グラタン・スープの汁なし版」といった感じの料理だが、脇で見ていても簡単に作れて、しかも美味しかったので、今でもうちで、たまに作っている。「外国語を覚えたかったら、その国の彼女(彼)と付き合え」と言われるように、料理、特に保存食料理が好きなら、その地のおばあちゃんと仲良くなるべきだというのは、本当のようだ。

乾燥させたパンの調理で、もっとも重要で、かつ基本的なことは「美味しいパンで作るべき」ということだ。うちは、僕好みの本格的なフランスパン屋さんが近所にあって良かったと心から思う次第である。そして湿気の多い日本では乾燥剤と一緒の保存が望ましい。乾燥させたパンのレシピに興味のある方は『パンが残ったら…recettes de pain perdu(上野万梨子著/文化出版局)』を読むといい。既に絶版になっている本だがAmazonなら中古が格安で手に入る。

【材料】
フランスパン(バゲット、バタール、パン・ド・カンパーニュなど。食パンでも可)、タマネギ大1個もしくは中2個、ニンニク1かけ、ベーコン(挽き肉でも可)200g、オリーブオイル大さじ2、コンソメ大さじ1、ブラックペッパー大さじ1、チーズ(ピザ用などの溶けるタイプ)200~250g

【作り方】
❶食べ残ったパンを2~3cm角に切ってザルなどに乗せて乾燥させる。2~3日かけてしっかり乾燥させること。昼間は外に出し、夜露の降りる夜間は室内に入れる。干物用のネットなどに入れておくとカラスなどに取られずに済む。
❷スライスしたニンニク、くし切りにしたタマネギをオリーブオイルで黄金色になるまで、トロ火でじっくり炒める。
❸3cm程度の幅に切ったベーコン(もしくは挽き肉)とコンソメ、ブラックペッパーを加えてさらに炒める。
❹乾燥させたパンを加えて混ぜ合わせ(パンの量は容積にして具材と同じくらい)、タマネギなどから出たソースをしっかりと吸わせる。
❺グラタン皿やパイ皿のような耐熱容器に入れて溶けるチーズを乗せる。
❻250度に設定したオーブンで約15~20分程度熱し、チーズが色よく焼けたらできあがり。
❼チーズを乗せてのオーブン焼きを省き、具材とパンを合わせただけでも十分美味しいし、パルミジャーノなどのチーズなどをすりおろしてかけてもいい。

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フワフワのパンがもてはやされる昨今だが、「ベーカリー アベ」のパンは皮のパリッとした、しっかりした仕上がりが特徴だ。うちで毎朝食べている食パンも同様。皮の美味い食パンはなかなかお目にかからない。

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タマネギをじっくり炒めるにはダッチオーブンなどの鋳鉄製の鍋が向いている。フタをしておくと圧力鍋のような効果を生み出して、短時間でもきちんと火が通る。

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乾燥させたパンに、タマネギやベーコンから染み出した極旨のソースをしっかりと吸い込ませる。それがこのレシピの最大のポイントと言ってもいい。

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写真・文 鈴木アキラ

1960年生まれ。料理と刃物研ぎが大好きな飲んべえアウトドアライター。「アウトドアで活躍!ナイフ・ナタ・斧の使い方(山と渓谷社刊)」ほか著書多数。