定番技術を応用すればどんな現場でも安眠できる!?
サバイバルの真髄は、どんな状況でも最適な結果を導き出す即応力である。例えば寝床作りの工程を間違えずに覚えるのではなく、寝床作りのアイデアを抽出して、状況により組み合わせを変えて対応するのがサバイバルだ。ここでは代表的な3つの状況を想定し、それぞれに適した野営基地例を挙げた。各野営基地に見るアイデアを抽出して、自身の野営基地に活かしてほしい。
写真/降旗俊明
[長期野営ver]快適な野営環境を作るための十分な時間と道具がある場合
そもそもの目的が野営であった場合の一例。快適な睡眠に最も効果的な「水平な寝床」をどんな環境でも実現するため、ここでは高床式を採用した。これからの時期なら、就寝中に虫が顔の上を這うなどの事態も回避できるだろう。特徴的なルーフ形状で、広大な居住空間も確保している。
POINT.01 快適な睡眠環境を約束する水平な高床式フロア
POINT.02 居住空間の有効面積を広げる庇付きルーフ
POINT.03 使い勝手と暖房効果を兼ねたシステムキッチン
長期野営仕様シェルター
RAISED LEAN-TO SHELTER with STAR FIRE LAY [MOD]
[改良型スターファイヤー火床付き高床式差し掛けシェルター]
基本構造は一般的な差し掛け式シェルターと同じだが、寝床名に添えた「RAISED(一段高い)」はルーフにもフロアにもかかっている。フロア部は高床式としつつも、ロープや番線といった固定具は使わずに立木と“Y字の丸太”のみで屈強な土台を作っている。ルーフ部はビニールシートを用いた差し掛け構造だが、やはりここでもロープは使わず、立木と“Y字の枝”のみで前後に骨組みを作り、高床となった分だけルーフ全体も引き上げている。これにより寝床の四方はオープンエアとなったが、大きな庇(ひさし)とファイヤーリフレクターで、焚火の熱が寝床内にとどまる仕組みだ。火床は省スペースでも薪の補充が容易なスターファイヤー式とした。
DETAIL.01
3.6×2.7mの一般的なビニールシートを用いたルーフ部。立木の内側に作った骨組みにシートを折り込むことで、雨風を防ぎ、熱を逃がさない大きな庇を作っている。
DETAIL.02
大人2人が座っても横になっても余裕な居住空間はまさに長期野営向き。地面が傾斜していても、高床式なら土台の長短で水平が簡単に取れるため、快適な睡眠環境を確保できる。
DETAIL.03
ファイヤーリフレクターによる暖房効果を高めるため、火床は寝床にできるだけ近づけた。とはいえ、フロア部に凹を付けることで調理するにも問題のないスペースは作ってある。
DETAIL.04
差し掛け式ルーフの前後フレームに枝を掛ければ、ランタンをフロア中心に吊るせるのも隠れたポイント。庇を作ったことで広大な軒下スペースができた点も然りだ。
RAISED LEAN-TO SHELTER with STAR FIRE LAY[MOD]
MAKING MANUAL
[寝床の作り方]
STEP.01
まずは高床式のキモとなる土台の断面作り。はじめに丸太の切断面を分断するように切れ目を入れ、側面から先の切れ目に向かって斜めに丸太を切り落とす。逆側も切断面が互い違いになるよう切り落としたら、イスカ継ぎの完成だ。
①
②
③
STESP.02
続いて4本の立木が平行に植わっている場所を探し、先ほど作った土台をそれぞれの立木に設置する。この際、土台の長さでフロアの水平が出せるので調整しておく(今回は写真手前から奥に向かって地面が傾斜していたので、手前の土台を短くした)。
STEP.03
次に先ほど設置した土台の凹みに丸太を載せるのだが、この際、丸太の重みで土台が立木に寄りかかるようにしておく。こうすることで土台に荷重が掛かるほど固定力が増す構造となる。
STESP.04
最後に土台に載せた2本の丸太を跨ぐようにして、フロアとなる丸太を敷き詰める。今回は火床スペースを確保するため、手前側のフロアには凹みを付けておいた。
★[火床の作り方]
★[屋根の作り方] etc...