【vol.53】にわとりのいる暮らし No.32

長い間飼っていたロードアイランドの群れが、8年の間に少しずつ減って、ついに『ニワトリがいない暮らし』になってしまった。

台所の生ゴミは鶏糞となって豊かな土壌を作り、土葬されたニワトリの身体も土に還っていく。姿は見えずとも、ニワトリは庭の成分になって存在しているのを感じる。

外出自粛をきっかけに、庭にいる時間が増えた。庭といっても、我が家の庭はかなり急な斜面なので、木の剪定をし、荒れている道を歩きやすいように整備するだけでもひと仕事である。やるべき仕事があるということは幸せだ。植物に埋もれて風に吹かれていると、心が満たされた。今感じている恩を、忘れずにいようと思った。

何か学びたい時、パソコンの中に先生がいる時代だ。野菜作りや園芸のことも、ちょっと調べればあれこれヒントを教えてもらえる。知識を得たり、さまざまな方法があることを知ると、お店に行ってあれこれ買う必要はなくなり、自分の頭をひねって考えるようになる。フーン、文祥が言っていた、「考えている時が一番楽しい」ってこれだったのか。

落ち葉の下から腐葉土をスコップで掘り出して、バケツで運び、そこに赤玉土、アルカリ性の土、堆肥などを混ぜる。ひと昔前は、宅配で培養土を買っていたが、少しは成長したと思うことにする。

旧ニワトリ広場に地植えしたゴーヤは、ぐんぐん成長して、カーテンどころか壁のようにベランダに張り付いている。緑色の紡錘形を握ると、イボイボの心地よい触感が伝わり喜びがこみ上げる。「キングからの贈り物だよ!」と最初は盛り上がっていたが、毎日取れるゴーヤをだんだん持て余してきている。

服部家の生き物
「ナツ」 ♀(犬)最近、オヤブンと山にいる日数が増えています。
「ヤマト」 ♀ (猫)暑くて外で寝ることが多いです。

服部家の人々
「ブンショウ」 ♂ 夏のサバイバル山行を無事終えました。
「コユキ」 ♀ 梅干しが良い感じに干し上がりました。

「ショウタロウ」♂ 車の免許合宿中です。
「ゲンジロウ」♂ ゲームの大会があり、負けました。
「シュウ」♀ 高校でも陸上部。400、800やります。