ある日、用事から自宅に戻ると、娘が「隣の町内会のおじさんから電話がきてさ」と言った。「近所でニワトリが保護されて警察に連れて行かれたんだけど、もしかするとハットリさんちのトリじゃない?って」「えーーーーっ!やばー!」
前夜、私は確かに叫び声を聞いた。小屋に入らず木で眠っていたメンドリが、獣に襲われたのだろう。悲鳴が林の奥へ遠のいて行ったので、もはや助かるまいと諦めていたが、こんな騒ぎになるとは。
警察署の遺失物係の窓口に行くと、後から後から人が来てごった返していた。スマホやPASMOを落とした人が多いようだ。書類を書き、順番が来て恐る恐る箱の中をのぞくと、ハルコという名のメンドリだった。「間違いありません、うちのニワトリです」。係の人は、珍しい無くし物でちょっぴり楽しそうだった。
ハルコはかなりショックを受けているようで、自宅に戻った後もケージの中から動こうとしなかった。水と餌を与え、しばらく様子を見ることにする。コフキにいる文祥に報告すると「パトカーに乗ったニワトリっているのか?」と大笑いしていた。
次の日の朝、ケージの扉を開けるとハルコは羽をバタつかせながら「クワーッ」と叫び、大きいうんちをプリッと落としてスタスタと庭に帰っていった。そして、その晩から小屋に入って眠るようになった。


服部家の生き物
「ナツ」 ♀ 早速、北海道で猟をしてきました。
「ヤマト」 ♀ 布団が気持ちいい季節です。
「チャボたち」 ひと月に1羽、鶏スープになっています。
服部家の人々
「ブンショウ」 今年も猟期と駅伝シーズンが始まりました。
「コユキ」 柿を100個、ベランダにぶら下げました。
「ショウタロウ」 そろそろクライミングで父を追い抜くかも?
「ゲンジロウ」 美大受験に向けて日々頑張っています。
「シュウ」 アルバイトで焼き鳥を焼いています。
服部小雪
イラストレーター。二拠点生活を送る夫の服部文祥と生き物との暮らしをレポートしている。登山家・服部文祥と3人の子供たちとの暮らしを綴った『はっとりさんちの野性な毎日』(河出文庫)が発売中。
















