【vol.38】クリガニをいただきま~す

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今回のテーマ:クリガニをいただきま~す

今回は海の幸。カニを採ってきたので紹介する。海の生き物はめちゃくちゃ厄介で、全てが捕まえて良いというわけではない。簡単に説明すると、個人的には捕まえて食べてもいいが、テレビや、雑誌などでは紹介できない部分がある。海は誰の物でもないのに、自由には捕まえることができないルールがあるからだ。

日本の海域は漁業権という権利があり、その場所では一般には生物を採ることが許されていない。漁業権はその場所や地域などで発生し、そのエリアをお金で買う形になっている。なので、「俺の海でなに取ってんだ!」と言われてもしょうがないシステムなのだ。しかしながら、全ての生き物がそうではなく、地についている物や地に足を下ろしている物などに限られる。例えばイカはOKでタコはNO。魚などは自由に動き回るので対象には入らないということだ。

今回紹介するクリガニは東北方面へ行けばおそらく漁業権に引っかかり自由には捕まえられないカニなのだが、捕まえて来た茨城県の海岸では、漁協に問い合わせた結果OKとのこと。同じ獲物でも地域で様々なのだ。各地で有名なのは、サザエ・アワビ・イセエビなどだが、海藻や貝類は地域によって様々なので、なんでも採っていいわけでもない。地域の漁協が稚貝や稚魚などをまいているところもあり、納得がいくこともあるのだが、ほぼ自然のものなのに誰の土地でもないところで規制されるのは今ひとつ理解できない部分もある。

特にお金になる物に関しては密猟者があとを絶たないのでものすごく厳しく処分される。海の生き物、特に貝類や海藻類・ウニなどを採集する際は、その地域の漁協に問い合わせて遊んでもらいたい。密猟者と一緒にされるのはつまらないからね。

クリガニの採集はすごく簡単だ。まずシーズン。2月~3月の夜の磯。潮間帯の潮の引いている時間に長靴やバカ長を履いて歩きながら探す。冬の潮の動きは、日中あまり潮が下がらず、夜に大きく下がる。岩場と岩場の間にある砂地などで海藻などを食べているところに遭遇できる。また、繁殖期なのか、交尾をしているものが多く目だつ。毛ガニに似たスタイルで、攻撃性は全くなく、すばしっこくもなく素手で簡単に捕まる。大潮などで、潮の引いている時間に2時間も探せば十分採集できる。

ちなみにこの時期は海藻が伸び始める時期で、ヒジキやワカメなどいろいろな海藻が目立つが、決して採ってはいけない。変な誤解を生むことになるからだ。

このカニはおそらくあまり南には分布しないカニで、私がよく行く、関東から南の磯では、見たことがない。毛ガニと同じ仲間なので、毛ガニを食べたことのある人なら想像できると思うが、味はほぼ同じ。ただし、あまり大きなカニとは言えないので、身の量やミソの量は多くはない。小さい分食べるのが細かな作業になるが、自分で捕まえて来たカニを食べられると思うと楽しみも一入。みその詰まった物に当たると思わず、笑ってしまうほどだ。あまり有名ではないが、味は間違いない。

まだ寒いが、茨城県から北の太平洋側の砂の多い磯でぜひ探してみてもらいたい。ただし、地域で漁業権があるので、必ず漁協に問い合わせてから出掛けてほしい。

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ケガニと同じ仲間のカニで、毛ガニを少し小さくした感じ。甲羅の形が栗のような三角形。体はあまり硬くはない。似た種類にトゲクリカニがいる。ケガニよりも浅い場所に住む。市場にはあまり並ばない。

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夜の磯遊びは寒いとつまらないので完全防着で遊ぶ。インナーは汗ばんできたら、脱げるような服装。帽子やグローブ・ネックウォーマーなどを使用し、抜かりなく快適に遊ぶ。

探す

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2月から3月まだ寒い時期の夜に、砂地のある磯でライトを照らしながら探す。ポイントは、潮が一番ひいた時間帯で大潮の日がベスト。見つけても素早く逃げないので、慌てずゆっくり網で採る。ひざ下の水深あたりを歩きながらゆっくり探す。

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海藻などを食べている場面が多く、夜に食事にきている感じ。砂の上にいると擬態で見つけにくいが、目が慣れてくるとすぐにわかるようになる。繁殖期なので交尾しているものが多く、メスは繁殖のためできれば採らない心構えで。

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大潮の日の干潮前後の2時間で、8匹捕まえた。メスは繁殖のために逃がすようにしたが、内子(卵巣)が美味しいので2匹キープした。ケガニは高価で採れないがこれなら毎年食える。

料理

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1.口に入るものなので、まずは甲羅や足をブラシを使い綺麗に洗う。高温で料理するので、寄生虫などは死んでしまうが、気持ち的にも洗うことを勧める。

カニ汁

蒸しが二

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2.洗い終わったカニの足を全てハサミなどで切り落とす。ダシが出るようにするので、甲羅も半分に切ってもいい。

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3.沸騰した鍋に切ったカニを入れ、5分茹でる。その後に味噌汁の具を入れ、最後に味噌を入れ調理酒で味を整える。

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4.少し豪華に具を入れたのがやや失敗。カニの味を楽しむのなら具は少ない方が良かった。カニの身も食べられるので、一石二鳥的な料理だ。カニの量は1人1匹半程度だが、たくさん入れてもしつこくないのでOKだ。

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2.鍋に水を4分の1入れて沸騰させ、蒸し器を鍋に入れその上に甲羅を下に、重ならないように並べる。

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3.カニを入れて15分~18分で火を止める。カニがオレンジ色に蒸し上がった。火傷に気をつけて皿などに並べる。

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4.茹でるより、蒸す方が旨みが逃げず美味い。殻が硬くないので、爪や歯で簡単に割れる。足の肉は少ないが、足の付け根の肉はしっかりついていて柔らかい殻なので、殻ごとかぶりついても美味しい。

カニみそ

カニの甲羅をパカッとはがすと、甲羅側と脚側に黄土色の“カニのみそ”が付いている。これは脳みそでは無く、簡単に言うとカニの消化器官(中腸腺)で、栄養素が詰まったもの。カニによって多少味が違うが、クリガニは濃厚で美味しい。

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日本野生生物研究所 奥山英治

主にテレビ番組やアウトドア雑誌や本などを中心に、自然遊びや生き物の監修などで活躍中。「触らないと何もわからない」をモットーに子供向けの自然観察会も行っている。著書に『虫と遊ぶ12か月』(デコ刊)などがある。